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【司法書士監修】不動産登記や相続税申告をスムーズに進めるための法定相続情報一覧図とは

2024年12月06日 相続人

法定相続情報一覧図の取得は、相続手続きをスムーズに進めるために重要です。
この一覧図は、相続人や相続財産を公的に証明する重要な書類であり、戸籍謄本・除籍謄本の代わりとして使用できるため、さまざまな相続関連手続きで使うことができます。
令和6年4月から義務化された不動産の相続登記でも重要な役割を果たします。
この記事では、法定相続情報一覧図の役割や取得方法、利用方法について解説します。


法定相続情報一覧図とは

法定相続情報一覧図は、被相続人(亡くなった人)と法定相続人との関係が表になっている書類で、法務省の登記官により証明される公的な証明書です。

法定相続情報一覧図の役割

法定相続情報一覧図は、相続人や相続財産を証明するために使用される公的な書類であり、相続手続きにおいては戸籍謄本に代わる書類として使用できます。

法定相続情報一覧図を取得するメリット

この一覧図を取得することで、戸籍謄本などの書類準備が簡素化され、相続手続きがスムーズに進行します。

つまり、相続手続きの際に戸籍謄本などの書類をたくさん提出することが省けるので、相続に関する各種手続きを効率的に進めることができるようになるということです。

法定相続情報一覧図の有効期限

法定相続情報一覧図には有効期限が設けられていないため、相続手続きが完了するまで利用可能です。

ただし、提出先である銀行や民間企業側で有効期限を設けている場合があります。

法定相続情報一覧図の取得手続きの流れ

法定相続情報一覧図は、法務局で申請することによって取得できます。
取得にはいくつかのステップと必要書類がありますので、その詳細について以下で解説します。

① 必要書類の収集

取得手続きには、戸除籍謄本や被相続人の住民票の除票などの書類が必要です。
事前に必要な書類をすべてそろえておきましょう。

② 法定相続情報一覧図の作成

被相続人と法定相続人を一覧にした図を作成します。
間違いのないように作成し、必要な項目を漏れなく記載することが重要です。

③ 申出書の記入

申出書に必要事項を記入します。
申出書は、法務局のホームページに掲載されています。

④ 登記所への申出

申出書・必要書類・作成した法定相続情報一覧図を、登記所へ申出をします。
申出をする登記所は、被相続人の本籍地または被相続人の最後の住所地を管轄する登記所へ行います。
または、申出人の住所地・被相続人名義の不動産の所在地を管轄する登記所への申出も可能です。

法定相続情報一覧図取得手続きの必要書類

法定相続情報一覧図を取得するためには、いくつかの書類を準備する必要があります。
それぞれの書類についての取得方法や注意点を解説します。

被相続人の戸籍謄本と除籍謄本

被相続人の出生から亡くなられるまでの連続した戸籍謄本と除籍謄本を、市区町村役場(区役所や市役所)で取得します。
被相続人の兄弟姉妹が法定相続人になるときは、法定相続人の確認のために被相続人の親などに係る戸籍謄本・除籍謄本が必要になる場合があります。

被相続人の住民票の除票

被相続人の住民票の除票を、市区町村役場(区役所や市役所)で取得します。
被相続人の住民票の除票が廃棄などの理由で取得できない場合は、被相続人の戸籍の附票を取得します。

申出人の氏名・住所を確認することができる公的書類

申出人は、主に相続人の代表となって手続きを進める方です。
公的書類は、運転免許証の表裏両面のコピー、マイナンバーカードの表面コピー、住民票記載事項証明書(住民票の写し)のいずれかひとつを提出します。

各相続人の住民票の写し

法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合は、各相続人の住民票の写しを提出します。

委任状

委任による代理人が申出の手続きを行う場合は、委任状が必要です。申出人を親族が代理する場合は、申出人と代理人が親族関係であることがわかる戸籍謄本も必要です。
また、申出人を資格者代理人(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士)が代理する場合は、資格者代理団体所定の身分証明書の写しを提出します。

法定相続一覧図の保管および一覧図の写しの交付の申出の手続きにあたって必要な書類

※ 同じ申出人が、同じ登記所に対して同時に2件以上の申請を行う場合、共通する書類は1通だけ提出すれば問題ありません。

※ 被相続人の兄弟姉妹が法定相続人になる場合などは、法定相続人を確認するために「被相続人の戸除籍謄本」に加えて、被相続人の親等に係る戸除籍謄本の添付が必要になることがあります。

法定相続情報一覧図の作成

法定相続情報一覧図を作成する際には、記載する内容に注意が必要です。
間違いのないように作成し、必要な項目を漏れなく記載することが重要です。

一覧図に記載すべき事項と注意点

法定相続情報一覧図は、A4サイズの白い紙に記載します。
被相続人の名前・最後の住所・最後の本籍・生年月日・死亡日を記載し、相続人の氏名・住所・生年月日・続柄を記載します。
被相続人の本籍の記載と相続人の住所の記載は任意です。
また、相続放棄をした相続人がいる場合も、一覧には氏名・生年月日・続柄の記載を行います。

記入様式は、法務局のホームページに掲載されています。

一覧図に住所を記載するメリット

住所を記載することで、相続財産の所在地が明確になり、手続きがスムーズに進行するメリットがあります。
法定相続情報一覧図の住所の記載は任意ですが、記載しておくと、相続の手続きで住民票の写しの提出を省略できる場合があります。

法定相続情報一覧図の利用方法

法定相続情報一覧図は、不動産や有価証券、自動車などの名義変更手続きや、預金の払い戻し、相続税の申告、遺族年金・未支給年金などの年金手続き、民間企業の保険請求などに使用できます。

法定情報一覧図の制度が始まる前は、戸籍謄本などの証明書類一式を、手続き後に返却があるまで待ってから次の手続きを行うか、手続きごとに一式用意しなければなりませんでした。一覧図があることで、こういった手続きがスムーズに行えるようになりました。

法定相続情報一覧図の取得の注意点

法定相続情報一覧図を取得する際には、いくつかの注意点があります。
特に書類の不備や誤記載には十分注意する必要があります。

申請書類の不備について
申請書類に不備があると、法定相続情報一覧図の発行が遅れる可能性があります。
不備がないように書類を確認しましょう。

法定相続人の誤記載のリスク
誤って相続人を記載すると、相続手続きに大きな影響が出る可能性があります。
慎重に記載内容を確認しましょう。

まとめ

法定相続情報一覧図を取得することで、戸籍謄本の束を提出することが省け、相続に関する手続きがスムーズに進み、不動産登記や相続税申告、金融機関での手続きが簡略化されます。
取得には登記所への申出が必要で、事前に必要書類を準備することが大切です。

書類の不備や誤記載に注意し、正確に申出の手続きを進めることが重要です。法定相続情報一覧図をうまく活用することで、相続人間のトラブルも防ぐことができます。


法定相続情報一覧図は、とても重要な書類ですので、作成や申請を専門家に依頼するとスムーズに進めることができ、おすすめです。

(記載内容は2024年10月1日までの法改正に基づいています)

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