相続に関するお役立ち情報
-相続人-
【行政書士監修】法定相続人の範囲と優先順位について解説
相続が開始した後、遺言書がなく、相続人が複数人いる場合には相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。
相続人を把握するための方法、どの親族までが相続人の範囲に該当するのか、相続人の優先順について解説します。
戸籍調査
まず最初に、戸籍調査を行い、法定相続人の確認を行います。
戸籍調査のためには、被相続人(故人)が生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本をそろえる必要があります。
【 戸籍謄本などの集め方 】
① 故人の本籍地を調べる
② 本籍地の役所で死亡時の戸籍を取る
③ 順番に遡って出生時までの戸籍謄本を取る
最寄りの市区町村役場の窓口で、全ての戸籍謄本の取得が可能になりました(郵送・代理人による請求はできません) 。
【 戸籍謄本等を請求できる方 】
配偶者・子・父母・孫・祖父母など
【 持ち物 】
窓口を訪れた人の顔写真付きの身分証明書
(運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど)
ご注意ください
電子化されていない戸籍謄本などは請求できません
豆知識:法定相続人と相続人の違いについて
法定相続人とは、相続する権利を持つ人のことを指し、
相続人とは、実際に遺産を相続する人のことを指します。
必ずしも、法定相続人が相続人になるとは限りません。
法定相続人には相続の順位が定められており、その順位に従って相続人が決まります。
法定相続人の範囲
集めた戸籍謄本などにより、民法で定められた相続人を確定します。
必ず法定相続人になる者:配偶者
配偶者には常に相続権があります。法律上結婚をしている配偶者に限り、事実婚では相続権がありません。
内縁関係の者は…?
事実婚などの内縁関係の者には相続権はありません。
ただし、遺言で一部財産を包括遺贈した場合、法定相続人とともに遺産分割協議に参加できます。
被相続人と離婚している(元配偶者の)場合は…?
元配偶者は、離婚した時点で相続権はありません。
被相続人と離婚協議中の場合は…?
法律上、婚姻関係にあれば相続権はあります。
第1順位:子
以下①から④の条件に当てはまる子が、法定相続人になります。
① 法律上結婚をした配偶者との間に生まれた子
離婚して、元配偶者となった者との間に生まれた子も含みます。
② 結婚をしていない者との間に生まれた子
父が亡くなった場合には、認知された子に相続権があります。
③ 養子
普通養子縁組の場合、養子と養親の間に親子関係が成立しますが、実親との親子関係は消滅しません。
そのため、養親・実親の双方との関係において相続権があります。
しかし、特別養子縁組の場合は、実親との法律上の親子関係が消滅するため、実親が死亡した場合には相続権はありません。
④ 胎児
胎児にも相続権があります。
ただし、遺産分割協議が実際に行えるのは胎児が生を受けた後となるため、胎児の段階では遺産分割協議はできません。
流産または死産した場合には、相続権は消滅します。
再婚相手の連れ子は…?
再婚相手には相続権があります。
しかし、連れ子は被相続人と養子縁組をしない限り、相続権はありません。
子の配偶者は…?
子の配偶者には、義理の親の相続権はありません。
ただし、義理の親と養子縁組をすれば、養子と養親の親子関係が成立し、相続権を取得できます。
実親との親子関係も存続するため、両方において相続権があります。
子が被相続人よりも先に亡くなっている場合は…?
被相続人の孫がいれば代襲相続(代わりに相続人になること)ができます。
第2順位:直系尊属
直系尊属に該当するのは、被相続人の父母や祖父母です。
被相続人に子がおらず、代襲相続もない場合には、直系尊属が相続権を取得できます。
父母が亡くなっている場合は、祖父母が相続権を取得できます。
第3順位:兄弟姉妹
兄弟姉妹に該当するのは、被相続人と父母を同じくする兄弟姉妹と、父母のうち一方のみを同じくする兄弟姉妹です。
被相続人に子も父母もいない場合には、兄弟姉妹が相続権を取得できます。
兄弟姉妹の子(被相続人の甥姪)は一代に限り代襲相続ができます。
まとめ
法定相続人の範囲と優先順位について解説しました。
相続人を確定させるために、戸籍を集めるには、平日の市区町村役場の窓口が開いている時間内、または郵送(戸籍謄本の広域交付を利用する場合は窓口のみ)で手続きを行う必要があります。
また、法定相続人が多数いて、相続関係が複雑な場合は、相続関係を正しく把握するために、相続関係説明図を作成するなどして整理しながら進めることをおすすめします。
遺産分割協議が終わった後に相続人が現れた場合には、相続がやり直しになる可能性もあるため、法定相続人を間違いなく・漏れなく把握することが大切です。
時間の有効活用やリスク回避のためにも、専門家にお任せすることをおすすめします。
(記載内容は2024年6月1日までの法改正に基づいています)