相続や不動産に関連する情報を調べていると、よく目にする「路線価」という言葉。
実際に路線価について詳しく理解している方は少ないのではないでしょうか？
この記事では、路線価の基本的な意味から、土地の価格を調べる方法や計算方法まで、相続に関する実務に役立つ情報を分かりやすく解説します。

路線価とは？

路線価とは、道路に面した土地の価格を示す指標で、1㎡あたりの金額を基準にしています。
この路線価には主に2種類あり、それぞれ「相続税路線価」と「固定資産税路線価」と呼ばれています。

どちらも税金を計算するための指標として利用されますが、一般的に「路線価」とは「相続税路線価」を指すことが多いです。

相続税路線価は、相続時に土地の価値を評価するために使用され、
固定資産税路線価は、土地にかかる固定資産税を計算するために使用されます。

これらは、土地を相続する際や売却を考えている方にとって重要な情報となります。

実勢価格（時価）や他の価格との違い

土地の価格に関する用語には「実勢価格」や「公示価格」などもありますが、それぞれの意味や使い方には違いがあります。

実勢価格とは、市場で実際に取引された価格を指し、売買が行われる際に使用されます。
この価格は時々刻々と変動するため、土地の評価を行う際には瞬時に把握するのが難しいことがあります。

一方で、路線価や公示価格は、土地の価格を算出するための公的な指標として使われ、比較的簡単に調べることができます。

相続税路線価は公示価格の約80%、固定資産税路線価は公示価格の約70%程度に設定されていることが一般的です。

このように、路線価は他の価格と比較して簡単に算出できるため、相続税の計算や土地の評価額を求める際に非常に便利な指標となります。

相続税路線価と固定資産税路線価の調べ方

実際に路線価を調べる方法について説明します。

相続税路線価の調べ方

相続税路線価は、最新の情報を確認するために国税庁の公式ウェブサイトを利用するのが最も確実です。
国税庁の「路線価図・評価倍率表」ページでは、都道府県別に路線価図を検索することができます。

検索する際のポイントは、大まかな地域を絞り込んでいくことです。路線価図には、各道路に面する宅地の1平方メートルあたりの価格が千円単位で記載されており、これをもとに評価額を計算できます。

固定資産税路線価の調べ方

固定資産税路線価は、資産評価システム研究センターが提供している「全国地価マップ」を使用することで調べることができます。
このサイトでは、対象となる年度や住所を入力することで、該当する固定資産税路線価を確認できます。

相続税路線価に比べて、固定資産税路線価はより簡単に調べることができるため、土地の評価を行う際には非常に便利です。

路線価図の見方

路線価図には、道路に面した土地の1㎡あたりの価格が表示されています。
例えば、「330C」と記載されている場合、この土地の路線価は330千円、1㎡あたり33万円となります。
この数字の後ろに付いている「C」という記号は、借地権割合を示すもので、借地のときにこの記号が関係してきます。
借地の場合は、注意が必要ですが、通常の土地であれば、この記号を意識することは少ないでしょう。

路線価を使った土地評価額の計算方法

路線価を基に土地の評価額を計算する方法を紹介します。

一方が道路に面している宅地

評価額は、次の計算式を使って求めます。

評価額 = 路線価 × 奥行価格補正率等 × 土地の面積（㎡）

例えば、路線価が200千円、土地面積が600㎡、奥行価格補正率が0.98の場合、評価額は以下のように計算されます。

200千円 × 0.98 × 600㎡ = 117,600,000円

角地の場合

角地の場合、正面と側方の路線価をそれぞれ計算し、加算して評価額を求めます。

評価額 = {（正面路線価 × 奥行価格補正率） + （側方路線価 × 奥行価格補正率 × 側方路線影響加算率）} × 土地の面積（㎡）

具体例として、正面路線価が300千円、側方路線価が200千円、奥行価格補正率が0.98、側方路線影響加算率が0.03の場合、評価額は以下のように計算されます。

{（300千円 × 0.98） + （200千円 × 0.03）} × 600㎡ = 180,000,000円

裏面が道路に面している宅地

裏面が道路に面している場合も、角地と同様に計算式を使いますが、側方路線影響加算率が二方路線影響加算率に変わります。

まとめ

路線価は、相続税や不動産評価において非常に重要な指標となります。
土地を相続する際や売却する際には、正確な路線価を調べ、評価額を算出することが必要です。
路線価の計算は少し複雑ですが、事前に自分の土地の路線価を調べておくことで、相続時の税計算がスムーズに進みます。

もし、路線価の計算や土地評価についてさらに詳しいアドバイスが必要な場合は、専門家に相談することをおすすめします。
税理士や不動産の専門家に相談すれば、より具体的なアドバイスを受けることができ、安心して相続手続きを進めることができます。

（記載内容は2025年2月1日までの法改正に基づいています）