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-相続税-
【税理士監修】親と同居していた自宅を相続するときの注意点|戸籍・評価額・小規模宅地等の特例
親と同居していた自宅を相続することになった場合、相続人は精神的な負担を抱えながら、戸籍収集や不動産評価、税金の確認といった複雑な相続手続きを進めることになります。
特に自宅の相続では、土地や建物の評価方法や特例の有無によって、将来の税負担や手続きの難易度が大きく変わります。
例えば、亡くなった親と同居していた際に、一定の要件を満たすことで、相続税の負担を軽減できる特例が適用されることがあります。
しかし、要件を正しく理解していないと、本来軽減できた可能性のある税負担がそのままとなるケースも見受けられます。
この記事では、親と同居していた自宅を相続する際に確認すべき一般的なポイントを解説します。
相続人の構成や財産内容によって必要な手続きは異なるため、一般的なポイントを押さえたうえで、自身の状況に当てはめて確認することが重要です。
✅ 相続手続きに不可欠な戸籍収集の範囲と注意点
✅ 固定資産税評価額を確認する方法とその重要性
✅ 自宅の土地の相続税評価額を最大80%減額できる特例の要件
✅ 2024年から始まった相続登記の義務化への対応
◎ 親と同居していた実家を相続する予定がある
◎ 自宅の相続に関わる税負担を可能な限り抑えたい
◎ 相続で活用できる小規模宅地等の特例について知りたい
手続きの土台となる戸籍謄本の収集|相続人確定のために必要な理由
相続が発生した際、最初に行うのが相続人の確定です。
ここで必要になるのが、亡くなった人の戸籍謄本です。
生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍
相続手続きを進めるうえで重要となるのが、相続人を正確に確定することです。
その判断材料として、亡くなった人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本が用いられます。
現在の戸籍謄本だけでは、過去の婚姻歴や認知、養子縁組の有無を確認することができません。
そのため、亡くなった人が本籍地を転々としている場合には、それぞれの市区町村から戸籍を取り寄せる必要があります。 ※
郵送での請求も可能ですが、古い手書きの戸籍(原戸籍や除籍謄本)は判読が難しく、取得や確認に時間がかかるため、早めの着手が重要です。
相続人の漏れがあると、後から手続きをやり直す必要が生じるため、最初の段階で正確に把握しておくことが重要です。
実際の相続手続きでは、遺産分割の内容や不動産の有無によって、追加の書類作成や専門的な判断が必要になることもあります。
詳細を知りたい方は以下の記事をご覧ください。
広域交付制度を利用する際の注意点
広域交付制度の開始により利便性は向上しましたが、自治体によってはシステムの処理や内容確認に時間を要し、即日発行が難しかったり、窓口で長時間待機することがあります。
また、交付には必ず本人が窓口へ出向く必要があり、代理人による請求には制限があるため、時間に余裕を持って手続きを進めることが大切です。
不動産評価を知るための固定資産税の確認
自宅を相続する際には、相続登記時の登録免許税の計算などのために、その家や土地にどれだけの価値があるのかを把握しておく必要があります。
その価値を判断する基準の一つとなるのが固定資産税評価額です。
これは市区町村が算定する公的な評価額です。
相続手続きを進める初期段階において、不動産の規模感を把握するための参考情報として、固定資産税評価額は重要な指標となります。
ただし、固定資産税評価額は相続税評価額そのものではありません。
相続税評価額を算出する際の正式な評価方法は、不動産の種類によって異なります。
土地については路線価方式または倍率方式、建物については固定資産税評価額を基準として評価されます。
納税通知書による確認
固定資産税評価額を確認する方法として、固定資産税の納税通知書に同封されている課税明細書を用いて、不動産の規模感を把握することができます。
毎年春頃に市区町村から届く固定資産税の納税通知書は、不動産の所在や課税状況を確認するための参考資料として役立ちます。
まず土地についてですが、課税明細書に記載されている評価額は、相続手続きを進める初期段階において、おおよその規模感を把握するための目安となります。
ただし、マンションの場合は、土地の評価額としてマンション全体の敷地(底地)の評価額が記載されているため、この金額だけで自分の持分の評価額を把握することはできません。
また、土地を他人と共有している場合も、課税明細書の記載内容から個別の持分割合までは読み取れない点に注意が必要です。
次に建物についても、納税通知書に記載された評価額は参考にはなりますが、共有名義である場合などには、そのまま自分の評価額として判断できないケースがあります。
このように、納税通知書は不動産の規模感を把握するための資料であり、相続登記などの手続きで用いられる公的な評価額を確認するには、市区町村が発行する固定資産評価証明書や固定資産課税台帳の写しを取得することが基本となります。
なお、土地の相続税評価額については、固定資産税評価額ではなく、路線価方式または倍率方式など、相続税法に基づく別の算定方法が用いられます。
不動産の価値を知ることは登記費用や税額計算の基準になる
不動産の評価額は、名義変更にかかる登録免許税の計算や、相続税が発生するかどうかの判断材料になります。
実際の売却価格とは異なることが多いものの、公的な評価額を把握しておくことは、相続手続き全体の整理や遺産分割協議を進める際の参考情報として役立ちます。
固定資産評価証明書の取得方法が分からない、固定資産税評価額から相続税の有無を判断したいなど、お悩み別に最適な専門家を無料でご紹介いたします。
相続税の負担を抑える方法:小規模宅地等の特例
同居していた自宅を相続する場合、相続税の負担を大きく左右する制度として確認しておきたいのが、小規模宅地等の特例です。
この特例は、被相続人が亡くなる直前まで居住や事業に使用していた土地について、原則として、一定の要件を満たす場合に相続税評価額を減額できる制度です。
ただし、要件の判定は相続人の状況や土地の利用実態によって左右され、例外的な取り扱いが生じることもあるため、個別の確認が必要となります。
なお、以下では同居していた子が取得するケースを中心に解説していますが、被相続人と同居していなかった子であっても、条件を満たす場合には特例が適用されることがあります。
土地の評価を最大80%減額できる制度
小規模宅地等の特例のうち、被相続人の居住の用に供されていた土地が「特定居住用宅地等」に該当する場合、最大330平方メートルまでの部分について、相続税評価額を80%減額することができます。
例えば、相続税評価額の目安が5,000万円の土地であっても、小規模宅地等の特例が適用される場合には、一定の要件と面積の範囲内で、課税上の評価額が1,000万円として計算されることがあります。
小規模宅地等の特例を適用した結果、相続税の基礎控除の範囲内に収まり、相続税の納付が不要となるケースもあります。
ただし、この場合でも、相続税の申告自体は必要となる点には注意が必要です。
また、他に多額の相続財産がある場合などには、特例を適用しても相続税が発生するケースもあります。
同居していた子が特例を受けるための主な要件
被相続人と同居していた子が特定居住用宅地等として特例を受けるためには、主に次の点が要件となります。
・相続開始の直前において、被相続人と生活の本拠を同一にしていたこと
・相続開始時から相続税の申告期限まで、その宅地等を引き続き所有していること
なお、被相続人または相続人が一時的に入院や介護施設へ入所していた場合であっても、生活の本拠が当該自宅にあったと認められるときは、同居として扱われる可能性があります。
居住については、相続開始前後の居住実態が重要な判断要素となり、建物の構造や利用状況、生活実態などを総合的に見て判断されます。
そのため、形式的に同居しているかどうかだけで一律に判断されるものではありません。
二世帯住宅である場合や、建物が区分登記されている場合などは、同居として認められるかどうかは個別に判断されるため、制度の適用前に、専門家へ確認をして要件を整理しておくことをおすすめします。
小規模宅地等の特例を検討する際には、要件だけでなく、証明書類の準備も重要なポイントになります。
親と同居していた事実を客観的に証明する書類について
小規模宅地等の特例を利用する際には、親と同居していた事実を客観的に証明する書類が求められます。
親と同居していたことを証明するためには、戸籍とは別に住民票の除票や戸籍の附票、マイナンバーが記載された住民票などが必要です。
二世帯住宅の場合などは、建物の登記事項証明書で「区分所有登記」がされていないかの確認が必須となります。
「生活の本拠」は実態で判断される
特例の適用において最も重要なのは、単に住民票を実家に移していることではなく、実際にそこで生活していたという「実態」です。
税務調査等では、公共料金(電気・ガス・水道)の使用状況や、郵便物の受取先、通勤・通学の状況などをもとに、生活の本拠がどこにあったかが確認されることがあります。
一時的に住民票を移しただけのような、いわゆる「住民票同居」と判断された場合には、原則として特例の適用対象とはならず、生活実態が確認できない限り、特例が認められない可能性が高いため注意が必要です。
なお、被相続人の入院や介護施設への入所などにより、形式的には別居の状態となっていた場合であっても、生活の本拠が自宅にあったと認められる事情があれば、特例の適用が検討されるケースもあります。
同居していなかった子でも適用されるケースがある
被相続人と同居していなかった子であっても、一定の条件をすべて満たす場合には、小規模宅地等の特例が適用されることがあります。
例えば、被相続人に配偶者や同居していた相続人がいないこと、相続開始前3年以内に自己または一定の親族等が所有する国内の家屋に居住していないことなど、細かな要件が定められています。
これらはいわゆる「家なき子特例」と呼ばれるケースに該当しますが、要件は非常に厳格で、形式的な判断ができない点が特徴です。
そのため、同居していなかった場合の適用可否については、居住状況や不動産の所有関係を含め、個別に確認する必要があります。
小規模宅地等の特例は事前確認が重要
小規模宅地等の特例は、相続税の負担を大きく軽減できる一方で、要件の判断を誤ると適用できない場合があります。
特に居住要件や建物の利用状況は、相続後に修正できない場合も多いため、早い段階で自分のケースに当てはまるかを確認しておくことが重要です。
自分の相続において特例が使えるかどうか不安な場合は、相続税に詳しい専門家へ相談し、事前に整理しておくことで、相続後のトラブル防止につながります。
知っておきたい相続登記の義務化
2024年4月から、不動産を相続した場合の名義変更(相続登記)が義務化されました。
同居していた自宅であっても、手続きをせずに放置しておくことはできません。
相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に、正当な理由なく名義変更の手続きをしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
名義変更を行わないまま放置すると、将来売却や融資、リフォームを検討した際に手続きが進められなくなるなど、大きな支障をきたす恐れがあります。
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関連情報:空き家の特別控除について
自宅が空き家になっていた場合でも、一定の条件を満たせば売却時の譲渡所得税の負担を軽くできる可能性があります。
この特例は、昭和56年5月31日以前に建てられた家屋(旧耐震基準)であることや、売却までに耐震補強または取壊しを完了させることなど、適用要件が非常に細かく限定的であり、適用できるケースはかなり限定されます。
詳細は以下の記事を参考にしてください。
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まとめ
同居していた親の自宅を相続する場合には、戸籍集めによる正確な相続人の把握、固定資産税評価額に基づく財産調査、そして小規模宅地等の特例を適切に活用することが重要です。
特に特例の適用は、要件の判定が細かく分かれることがあります。
2024年からの登記義務化も含め、特例の要件判断や書類収集には専門的な知識が求められる場面も多いため、早い段階で全体像を整理しましょう。
一般的な情報だけで判断せず、必要に応じて専門家のサポートを受けることで、後悔のない相続につながります。
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実家の名義変更をどう進めればよいか分からない
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自分のケースでどの手続きが必要になるのか、特例が適用できるのかを早めに確認しておくことが、相続後のトラブル防止につながります。
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(記載内容は2026年1月1日までの法改正に基づいています)



