相続に関するお役立ち情報
-財産-

【行政書士監修】預貯金解約の手続きガイド|相続開始から解約までの流れと注意点

2025年12月24日 財産

相続が発生すると、預貯金の解約手続きが必要になります。
口座凍結や必要書類の準備など、慣れていない方には分かりにくく、不安を感じる方も少なくありません。
この記事では、相続開始から預貯金解約までの流れを順を追って解説し、手続きを円滑に進めるためのポイントをまとめています。

【この記事で分かること】
✅ 相続開始から預貯金解約までの基本的な流れと注意点
✅ 口座凍結のしくみ
✅ 相続手続きに必要な書類と準備の進め方
✅ 解約前に利用できる仮払い制度の概要
【こんな人におすすめ】
◎ 相続手続きが初めてで何から始めればよいか分からない
◎ 葬儀後の預貯金解約手続きを計画している
◎ 口座凍結について知りたい

金融機関への死亡連絡と口座凍結のしくみ

故人が利用していた金融機関に死亡の事実が伝わると、口座は凍結されます。
口座凍結は金融機関が死亡を把握した時点で行われ、市区町村への死亡届が自動的に金融機関へ通知される仕組みはありません。

口座凍結後は出金や振込、引き落としが行えなくなるため、資産の流出を防ぐ役割があります。
金融機関によって対応に違いがあるため、利用していた支店やコールセンターへの確認が有効です。

口座凍結や相続手続きは初めての方には分かりにくく、不安が大きいものです。
ティアでは、手続きに詳しい専門家の紹介が可能です。
必要書類の準備や金融機関への手続きをスムーズに進めたい方は、ぜひご相談ください。


口座凍結によって止まる入出金や引き落としの影響

口座が凍結されると、以下の支払いが行えなくなる場合があります

✅ 公共料金(電気・ガス・水道など)
✅ クレジットカードやローンの引き落とし
✅ 定期的な振込

支払いが滞ると契約に影響が出る場合があるため、家族が代替の支払い方法を確保しておくと安心です。
特に固定費やローンの支払いがある場合は、早めに金融機関へ連絡して状況を確認しておくことが重要です。


預貯金解約を進めるための基本的なステップ

相続が発生すると、被相続人名義の預貯金口座は原則として凍結され、自由に引き出すことができなくなります。
解約や払戻しを行うには、金融機関ごとの相続手続きに従い、必要書類を整える必要があります。

ここでは、初めての方でも迷わないように相続預貯金口座の解約手続きの流れを解説します。

相続した預貯金口座の解約手続きの流れ

  1. 相続の発生と口座凍結
     被相続人が亡くなり、その事実を金融機関が把握すると、該当する預貯金口座は凍結されます。
     凍結後は以下の操作ができなくなります。
      ● ATMでの引き出し
      ● 振込
      ● 口座振替の新規設定
     なお、死亡届を役所に提出しても、金融機関へ自動的に情報が伝わる仕組みはありません。
     遺族や相続人が金融機関へ連絡した時点で、凍結処理が行われるのが一般的です。
  2. 金融機関へ相続発生の連絡
     被相続人が利用していた銀行、信用金庫、ゆうちょ銀行などへ、相続が発生したことを連絡します。
     連絡後、金融機関から以下の案内があります。
      ● 口座解約手続きの流れ
      ● 必要書類
      ● 専用の相続届や解約依頼書
     金融機関ごとに手続き方法や必要書類が異なるため、口座が複数ある場合はそれぞれ確認が必要です。
  3. 必要書類の準備
     【 共通して求められることが多い書類 】
      ● 被相続人の出生から死亡までが確認できる戸籍謄本等一式(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍を含む)
      ● 相続人全員の戸籍謄本
      ● 相続人全員の印鑑証明書
      ● 被相続人名義の預金通帳、キャッシュカード
      ● 金融機関所定の相続届、解約依頼書
     近年では、法定相続情報一覧図を提出することで、相続人の戸籍謄本の提出を省略できる金融機関も増えています。

     ≪ 遺言書がある場合 ≫
      ● 有効な遺言書の写し
      ※ 自筆証書遺言の場合 ⇒ 家庭裁判所の検認済証明書(ただし、法務局の自筆証書遺言保管制度を利用している場合は、検認は不要です)

     ≪ 遺産分割協議を行った場合 ≫
      ● 相続人全員が署名・押印した遺産分割協議書
      ● 協議書に使用した実印に対応する印鑑証明書
  4. 書類の提出と金融機関による確認
     必要書類を金融機関の窓口、または郵送で提出します。
     提出後、金融機関が以下の点を確認します。
      ● 相続関係が正しいか
      ● 遺言書や遺産分割協議書の内容に不備がないか
      ● 署名や押印が適正か
     書類に不備がある場合は、追加提出や再提出を求められることがあります。
  5. 口座の解約と預貯金の払戻し
     確認が完了すると、被相続人名義の口座は解約され、預貯金が相続人へ払い戻されます。
     払戻し方法は、次のいずれかが一般的です。
      ● 相続人代表者の口座へ一括振込
      ● 相続人それぞれの口座へ分割振込
     どの方法になるかは、遺言書の内容、遺産分割協議書の記載、金融機関の取扱いによって決まります。

手続きにかかる期間の目安

書類がすべて揃ってから、解約・払戻しまでにかかる期間は、通常数週間から1か月程度が目安です。
以下のような場合は、さらに時間がかかることがあります。

● 相続人が多い場合
● 相続人が遠方に住んでいる場合
● 書類の不備不足があった場合

事前に知っておきたい注意点

無断引き出しはトラブルの原因になる

相続開始後に、他の相続人に無断で預貯金を引き出すと、相続トラブルや紛争に発展する可能性があります。
必ず正式な相続手続きを経て対応することが重要です。

相続税申告が必要な場合の注意

相続税の申告が必要な場合、被相続人の死亡日時点の預貯金残高が分かる残高証明書が必要になります。
解約前に残高証明書を取得しておくと、後の手続きがスムーズです。

金融機関ごとに手続きが異なる

同じ銀行でも支店によって運用が異なる場合があります
複数の金融機関に口座がある場合は、それぞれ個別に手続きを行う必要があります。


急な支払いに対応するための仮払い制度

金融機関の仮払い制度(民法909条の2)

相続手続きが完了する前でも、法律に基づき預貯金の一部を引き出せる制度があります。

〇 葬儀費用や医療費など、緊急性の高い支出に利用可能
〇 引き出し可能額:各金融機関における被相続人の預貯金額 × 1/3 × 相続人の法定相続分(上限150万円)
〇 150万円は上限であり、計算結果が150万円未満の場合はその額が限度となります
〇 利用には金融機関が求める支出証明書類、相続関係書類などが必要

※相続人全員の同意は法律上の要件ではないが、金融機関が提出を求める場合があります。

家庭裁判所による仮払いの申立て(家事事件手続法200条の2)

より高額の支払いが必要な場合、家庭裁判所に対して預貯金の仮払いを申し立てること
ができます。

〇 金融機関の仮払い制度で対応できない場合に有効
〇 相続財産の管理・保存、生活維持などのために必要と判断される場合に認められる
〇 必要書類:相続関係書類、支出理由証明資料、緊急性を示す資料(事案により異なる)
〇 裁判所から担保提供を求められる場合があります

ティアでは、仮払い手続きや家庭裁判所への申請に詳しい専門家の紹介が可能です。急な支出が必要な場合でも、安心して手続きを任せられます。


まとめ

相続発生後は多くの手続きが必要となりますが、預貯金の解約は特に重要な項目です。
口座凍結のしくみ、相続人の確定、必要書類の準備、遺産分割協議の進め方などを理解しておくことで、スムーズに進めることができます。
仮払い制度の活用方法を知っておくと、急な支払いにも対応できます。

預貯金の解約手続きや相続に関して不安がある方は、ティアにご相談ください。

経験豊富な専門家が、書類準備から金融機関手続きまで丁寧にサポートしますので、安心して進めることができます。

(記載内容は2025年12月1日までの法改正に基づいています)

ティアの相続 > 相続に関するお役立ち情報 > 生前贈与 > 【税理士監修】生前贈与とは?相続との違いやメリットを解説
終活サービス

『トータル・ライフ・デザイン企業』として「終活」をサポート

ティアの「終活」サポート
相談無料お気軽にご相談ください